自分に眠っている能力があるなら、それを思いっきり発揮したい
世の中には、そんな気持ちを持った人のための、あるいはそんな気持ちに気付かせてくれる、たくさんの「相談」の場があります。
どうすればいいか
何を選べばいいか
どの行動が正しいか
多くの場合、人は「答え」を求めます。
私もずっと、答え探しをしてきました。
でも、ある場所で気づいたことがあります。
答えを出しても、「納得する場所」にたどり着ける人は、ほとんどいないということです。
もう少し細かく言えば、
答えを手にしてから、「うまくいき、うまくいかなくなるまで」の期間がとても短いのです。
だから私は、答えの形を渡さないようになりました。
代わりにやっているのは、「観測」です。
観測の特徴
この方法だと、感謝は私に向きません。
その分が、その人自身に戻っていきます。
もともと自分の中にあったものに、あとから気づくような感覚です。
ですので、私とのセッションでは、私からの質問の方が多くなります。
「え?それさっきの話だと嫌だったことにならないんじゃないの?」
「いきなりその人がそんな態度になるのは、どう考えても変じゃない?」
一見すると、曖昧で役に立たない会話に見えるかもしれません。
でも実際には、ここで起きているのは「問題解決」ではなく「観測」です。
答えを求める関係
一般的な相談はこうなります。
違和感
↓
どうすればいいか聞く
↓
答えをもらう
↓
行動する
これは効率的です。
でも同時に、自分の中にある「まだ言葉になっていないもの」は置き去りになります。
観測する関係
一方で、この場所ではこうなります。
違和感
↓
すぐに判断しない
↓
「何なんでしょうね?」と置く
↓
別の視点から見る
↓
構造が見えてくる
ここでは、答えは急がれません。
代わりに、まだ名前のついていない感覚が、そのまま扱われ観測基準になります。
なぜこれが大事なのか
人が何かを好きになるときのことを、多くの人はこう説明します。
「好きだから好き」
でも実際には、その前にもっと小さな動きがあります。
少し気になる
なぜか目に入る
なんとなく引っかかる
でもその時のことを私たちは思い出せなくなっています。
こうしたものは小さすぎて、ほとんど観測されないからです。
けれど、それが積み重なったとき、観測可能な単位になったある日「好き」に変わります。「嫌い」もあるかもしれません。
見えないものを扱うということ
多くの価値は、最初からは見えません。
それは違和感として現れたり、言葉にならない引っかかりとして現れたりします。
でも通常、それらはすぐに答えを出そうとすると「良い・悪い」に分類されて消えていきます。
友達が「大事な人」になるまでに月日が流れたこと
一目ぼれした人が「忘れられない人」になるまでには、想い続けた年月が存在していたこと。
どちらもあなたの大事な人生の出来事になっていき、その後の人生の意味を作ってくれます。
だから観測するというこの関係では、ちょっとした違和感を消しません。
「何なんでしょうね?」という形で、そのまま置いて、違和感のある構造を補足していきます。
この関係の特徴
・答えを教えない
・判断を急がない
・違和感をそのまま扱う
・問いが開かれている
そしてもう一つ大事なことがあります。
それは、「行動を決めてもらわない」ということです。
ここでは、誰かが代わりに決めることはありません。
ただ、見えていなかった構造が見えるようになるだけです。
依存とは何が違うのか
この関係は、ときどき依存と誤解されます。
でも決定的な違いがあります。
依存は「どうすればいいか」を求めます。
この関係は「どう見えるか」を問い続けます。
答えを渡されると、人は止まります。
でも、観測が進むと、人は自分で動き始めます。
最後に
この時間を共有する関係を一言で言うと、
「見えない価値を、観測できる形にする関係」です。
すぐに役に立つわけではないかもしれません。
でも、長い時間をかけて
「なぜかうまくいかなかったもの」が動き出すことがあります。
それは、何かを教えたからではなく
もともとあなたの中にあったものが、ようやく見えたからです。
答えではなく、自分の中にあったものに気づいたとき、
人は初めて納得します。
それは、「新しく得た」のではなく、
「すでにあったものが見えただけ」だからです。

